今日の名言

「自分探しだと? お前はそこにいるだろうが!!」

自分の殻に閉じこもっていた男の話

「あなたは自分の殻に閉じこもりすぎている」 ある女性にそう言われた。 ショックだった。 僕は自分の身体を見下ろした。 丸く固い表面。 一分の隙もない、滑らかで捉えどころのない皮膚。 無機質で、均一で、触ると冷たかった。 これじゃいけないと思った。…

命に関わる問題

知人の風の子さんが、可愛らしい女の子を出産された。(まだ写真は見せてもらってないけど。かわいいとは本人談(笑)) 恋愛は命に関わる問題なんだなあ、と改めて思ってしまった。 知り合いが結婚したり出産したりすると、こんな僕でもやはり家族を持ちた…

魔王

誰か 僕を殺しにくる勇者はいないのか 神聖な暗殺者よ ここにはおまえが捨て置けない 時空のねじれがある 次元のゆがみがある 世界の裏側からひびを入れ 黒い光を射し込ます 人間の法則への 裏切りがある 誰かいないのか 真実と愛を体現し 美と健全を兼ね備…

謙虚になりたい

今は謹慎中だけれど、こちらには少し日記を書くことにした。アクセスを見る限り2〜3人しか見てないみたいだし。一度書く習慣を付けてしまった身には、書かないでいることがなかなか辛い。独り言でも良いから書いておきたい。 ある人とトラブルを起こした件に…

もうやめよう

もうやめよう 人に甘えるの もうやめよう 愛されたいと思うこと もうやめよう 報われたいと願うこと もうやめよう 認めて欲しいと 人前で小さく呟くの もうやめよう お節介を焼いて 人に好かれようとするの もうやめよう 役に立てば愛される という思い込み …

溶解

限りなく海に近い ねばつく川の上 鉄の橋が低く伸び 夏の終りの腐臭がただよう ここはずいぶん静かだな ただ あちこちの高いところで 灯火がまぶしく ビルの稜線を描いている それだけが恐ろしい 垂直の稜線 無情な論理の断崖 僕は論理が恐ろしい 僕の論理は…

今という名の病

手段と目的の混ざり合った水平線へ向けて 水上バスが航跡を引くのが見えた 擬古的様式のビルの足元を俺はさまよい 神の巨大な墓標でもあるかのような そういったビルの 影絵のうごめき 光が切り取る闇と 闇が切り取る光とを 見た もはや無限の砂山と化した空…

まどろむカラスの黒い夢

都会のまんなか お堀のほとりで 僕はやはり カラスを脱っせずにいた ずるがしこくて うすぎたない そんな彼らに対する共感は たぶん カラスよりずっと多い人間への好意よりも ずっと的を得たもののように思われた そんな僕にも たまには電話がかかってくる …

夏目坂

通勤電車が早稲田で止まった。時間調整に定評のある東西線だ。僕は即座に駅を出て、隣にある都営大江戸線の牛込柳町駅を目指した。 都心の夏の朝だった。眩しい光が家並みの濃い影をくり抜いていた。額に汗がにじむ。同じように別の駅を目指して歩く人々が狭…

7/4中(三)

七月四日 昼〜 僕はやはり車椅子で押されていった。 (外見上)健康そうな普段着の青年が若い女性の看護師に運ばれている、という図式はやはり後ろめたかった。しかし今は実際歩くと辛いので、甘えてしまって良いのだと考える事にした。 朝からずっと僕を運…

7/4前(二)

七月四日 朝〜 朝早くに目が覚めた。自分がちゃんと生きていることに安堵した。寝汗をびっしょりと掻いていて、シャツや毛布が身体に張り付いていた。胸の痛みは昨夜に比べると少しやわらいでいたけれど、身体を起こすとすぐに元通りになった。喉が痛い。息…

7/3(一)

七月三日 十八時三十分〜 トラブルの対応も一段落していて、落ち着いた気分で帰れそうだった。定時に僕は席を立ち、パソコンの電源を落として大きく伸びをした。 鞄を手に取ったとき、左胸にかすかな痛みが生じているのに気付いた。心臓よりやや上の肋骨の隙…

日記

猛暑の最中、新調したシアサッカーのジャケットを着て出掛ける。ちゃんとしたジャケットなので当然長袖だ。Tシャツ一枚でいるよりは暑いけれど、少しでも風があれば割と涼しい。見た目も涼しげ。体型が貧弱でTシャツとか似合わない僕にはなかなか良いアイテ…

夜の一片

夜の街をひとりで歩くという 気味の悪い習慣を 僕はまだ捨てることができない 側溝を這うネズミのように 夜の中で暮らしていた頃を 歩きながら思い出す うつろな胸や 軽く運ばれる足の甲に その頃の夜を一片 しまい込んだままでいる いつだって夜明け前に見…

7/2(序)

七月二日 夜 仕事帰りに高円寺で途中下車して、黒赤ちゃんのライブを観に行った。 ちょうどギター担当の乾さんの誕生日で、ライブも黒赤ちゃん主催の誕生祭という趣旨だった。 仕事のトラブルのせいで会社を出るのが予定より遅れてしまった。それで、開演か…

秋葉原の事件についてドストエフスキー過剰引用

「ぼくがきみの家へ行ったのは、その連中の一人――ある将校をぶんなぐってやろうと思ってだったんだ。ところが、相手が見つからなくて、しくじっちまった。それでだれかにそのむしゃくしゃを持っていって、腹いせをしなくちゃならなかった。そこへきみが現わ…

秋葉原の事件について

今日は仕事を早く上がれたので、東京駅まで歩いた。7時になってもまだ空が青い事に驚いた。ガード下のビビンパ店でキムチ石焼ビビンパを食べているうちに、日は急速に落ちた。新丸ビルの中にある行きつけの服屋に寄って、それから東京駅で中央線に乗った。 …

中野・神保町・牛込柳町・大久保・中野

知り合いの画家さんと会う約束をしていた。僕は何故かペンタブレット(パソコンで絵を描くための、ペンと画板のような道具)を持っていて、もうほとんど使っていないので画家さんにあげてしまおうと思ったのだった。 中野で待ち合わせて、近所のイタリアン・…

メモ

「ホテル・ニューハンプシャー」読破。 現代を舞台にした神話だと思った。おとぎ話に特有の予言や奇妙なロジックが家族を襲い、揺り動かしていく。人間の家族の物語であると同時に、神々の演じる神話でもある。 もっと神話を勉強したいと思った。僕たちの物…

トリックスター

知らぬ間に僕は叙任されていたらしい。叙任式をいつ通り過ぎたのか、僕はまったく覚えていない。それは、森の中で巨木に囲まれて、自転車の小ささに気付いた時だったのだろうか。あるいは島の海岸で、暗闇のなかに立って太平洋からやってくる雲を迎えた時だ…

潜る

良い文章というのは、誰にも分からなかったことを誰にでも分かるように書いたものだという。逆に言えば、最悪の文章は、誰でも分かることを誰にも分からなく書いたものだということになる。 僕の周囲の小説仲間で、純文学とそうでない娯楽作品の違いについて…

孤高と理想

もしどうしようもなく孤独を感じたら、それを孤高と呼べ。 もしどうしようもなく意地を張る自分を見つけたら、それを理想と呼べ。 救急車に運ばれた時も雨だったなと思い返し、こわごわと電車に揺られていた。ぼんやり考え事をしているうちに乗り換え駅を過…

天罰

仕事から帰って来て体重計に乗ったら、55kgになっていた。53kgといったふざけた数値は、もうあまり出てこない。しかし、体脂肪率が相変わらず5%のままだ。体脂肪率が低すぎると病気に対する抵抗力が落ちる。つい先日も風邪を引いてしまい、1週間…

離脱者

曇り空の下で洗濯物を干しているうちに、陰鬱な考え事が頭の中へ忍び込んできた。僕は、出て行くばかりの人生を歩んできたな。メジャーからマイナーへ、多数から少数へ、そういう軌跡ばかり描いてきたな。そんなことにふと思い当たった。 友人が多く進学した…

ブログ事始

友人に長い間ずっとブログを書いている人がいる。その人の文章を読んでいると、日記でも随筆でも断章でもなく「ブログ」というジャンルの文章があるのだという気がする。 ネットを通過する膨大な意味の奔流のさなかで、ブログという小さな渦が無数に生じてい…

道がみえる 重苦しい空の中央に 不意に まぶしい傷口が開くときのように 思いがけず見出される ひとすじの道がある春 午後二時の大気の下で ひとすじの道はまっすぐに伸びる 老人がひとり 杖を突いて立ち 乾いた水田に長い影をおとす 干からびた身体を 淡い…

緑の記憶

ゆるやかな地面の中で 眠っていたのは いつのことだったろう 一瞬のきらめきの 運命的な反復が 永遠をかたどるような そんな夢を見ていたのは あれからもう 何夜も経つんだ 濃密な 灰色の空気が 緑の肌に 絹布のように巻きついて 薄い皮膚の 内側へと 酸素を…

ラストノート

扉を開けばからだを包む イミテーションの芳香 シューマンは オルゴールアレンジされているし 音を垂れ流すのは ピンク色の韓国製コンポだし 人形のために作られたような 小さな木目調の丸テーブルは 実際は集成板 造花の百合が白々しく 下品にそしてエロテ…

十九万六千八百三十三次元のモンスター

横浜の 陰で濡れそぼった坂道を 異人たちの霊がよぎっていく カラスアゲハが デジタル信号みたいに 羽を明滅させて 緑色のフェンスに軌跡を絡め 夕暮れを抱え込んだ崖を目指して 消える 僕は立ちすくんでいた 誰からも忘れ去られた 地下水道の多段滝が ごく…