2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ドワーフ・プラネット(三)

※この物語はフィクションです。実在する場所、人物、団体名などとは一切関係ありません。 ボルト達から礼二の事を聞くようになったのは、それからすぐだった。校舎の喫煙スペースで私はたまたまボルト達と出会った。私は煙草を吸わないけれど、友人たちと立…

ドワーフ・プラネット(二)

※この物語はフィクションです。実在する場所、人物、団体名などとは一切関係ありません。 店内にはジャズ・ピアノの音色が流れていた。茶色いペンキ塗りのテーブルを挟んで私と礼二は向かい合っていた。店のドアから覗く外は街灯のまぶしい夜で、私たちの周…

ドワーフ・プラネット(一)

八王子から橋本まで歩いてきた。約一時間半の距離だ。私にとってそれほど遠くではないけれど、なぜか左足が痛くなった。 橋本に行って痛くなったのは足だけではなかった。これは驚くべきことだ。今日私が橋本に行った事に大層な理由なんてなくて、ただ開放さ…

リリスの下僕

リリスについて、もっと書いてみようと思う。私はリリス的な女性に強く惹かれるところがあるのだ。 私が好む女性は、まず邪悪であることが挙げられる。犯罪やその他の罪を犯しているという意味ではなく、自分の内側に暗い核を抱えているような人のことだ。 …

墜落プログラム

粘性の闇と脂ぎった照明 鳥が落ちてくる感覚に見舞われて 俺は地面に膝を突く ここは他人の内臓 その内側だ 岸壁に這うパイプの群に ひどく散文的なコンクリートの起伏 腰掛けるところなどどこにもない凹凸 鳥が落ちてくる感覚は どこからもたらされたか 狭…

カタパルト

午睡を終えた空はきらめき 新宿を高く高く持ち上げていく 空間を切開してかたどったような 天を刺す鏡の部屋と 底をなくしたダンジョン 夜を失った地下が同居する 未定義の言葉たちが地の亀裂から漏れあふれ 二本のレールの上を反復し始める 発見済みの言葉…