カタパルト

午睡を終えた空はきらめき
新宿を高く高く持ち上げていく
空間を切開してかたどったような
天を刺す鏡の部屋と
底をなくしたダンジョン
夜を失った地下が同居する
未定義の言葉たちが地の亀裂から漏れあふれ
二本のレールの上を反復し始める



発見済みの言葉では もはや
我らを地上に引き留めておくことはできない
我々は見出すだろう
AV女優の陰唇に隠された権力を ロマネスクを
談話室の階段に潜む沈黙を ファシズム
我らを大地に縛りつけていた
あらゆるまじないごとを



そう 我々は自身を
解呪しなければならない
そうして 鏡の部屋の
切開された空間の傷口 その向こう側を
目指さなければならない



定義済みの言葉では もはや
我らを時代に従わせておくことはできない
我々は見下すだろう
音叉に似たビルの抱く渇望を フィクションを
空虚な中心の周囲に生じる摩擦熱を パラダイム



我々がかつて自身を縛るために用意した
絶え間ない日常と非日常を