ツイスター

肌よりちかい場所にうずきを覚えて
見わたすかぎりはひとりの階段
氷の中にとじこめられた
渦巻く白い光を浴びながら
音をさがそう 声をさがそう
遠いむかしの 歌をさがそう


    だが 君たちはどこへ行くのか
    地平線で一列の雲が沸騰し
    意思のない群衆はおびえだす
    君たちはどこへも行けない
    円環の内部を蹴って空転し
    声は弓のように絞られる
    君たちはどこへも行けない
    最古の海へ落ちていく声


無限の分岐が落ちていく
龍神のため息が空を割る
毛が渦巻いて逆立つと
遠い未来を思い出し
いま再び天地が交わる
雷鳴が一筋の軌跡を描き
あらゆる可能性を反故にして
未来を選ぶ 経路を選ぶ
たった一つの 歴史を選ぶ


    だが あなたたちはどこへ行くのか
    波がよどみのない夢を渡って
    大気を無音で染めていく
    あなたたちはどこへも行けない
    過去と今とが描く環の中で
    終わらない落下があるばかり
    あなたたちはどこへも行けない
    紙に描く二次元だけの永遠


複雑な回路を前にして
描き出された絵のような絵
を見つめる絵を見つめていた
夢のような夢が夢にあらわれ
そこで言葉は踊りだす
ここに地果て海終わり
人の世もまた終わりを告げる と
余った次元を言葉が埋めて
空が始まる 夢が始まる
螺旋の伸ばす 螺旋が始まる


    だけど僕たちはどこへ行くのか
    生成規則が輪を作り
    自己証明が首を吊る
    僕たちはどこへも行けない
    僕たちはどこへも行かない
    意味の晴れ上がりが見えた
    運行する宇宙が
    絶え間ない空間の振幅が
    ここを支えるための
    あまりに切ない無限の回転が
    見えた
    僕たちはどこへも行かない
    遠い昔の未来を求めて