虹のゲート

 晴れて虹が見えたりしたので、たまには明るい詩も書いてみようと思った。

 追記:YAZIRUSHIさんの旦那様が虹の写真を送ってくださいました。文章の最後に貼らせていただきました。どうもありがとうございます!

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眠り込んだ空からは
思い出ばかりが降ってくる
ああ 腹が減れば
むしゃくしゃするし
家の鏡は
消せない言葉でくもっているし
「自分は過去だけでできているのだ」
なんて
うそぶいてみたくもなるような
時間をなくした日々にいて
誰も知らないだろうけれど
これでも僕は
誰かのために生きてみたいと
思っているのだけれど――


しかし


空が晴れあがるのを
誰も 止められはしなかった
いま 光の車輪が地面に触れて
虹のゲートが開かれる
大地から空気が消え去り
太陽の吹かす風が
からっぽの胸を急かした


あのゲートの先に
空気が あるだろうか?
時間が 動いているだろうか?
誰も分からないだろう
けれど
永遠の熱がたえまなく呼びかけるのだ
まだ空とつながっている
血を 皮膚を 肉を とおして


いま 僕は見はるかす
空とともに
すべての思い出もまた
晴れあがっているところを