2007-07-23 四行詩習作 詩 手に入らなかった思い出に背を押され 灰色にひび割れた道をたどる 坂の上へと転がっていく軽い声を 僕はただ見送るばかりだったのさ アンテナの檻と電柱の林 引き伸ばされた午後の青白い夕方 そういった日々の隙間に心をねじ入れて どんな化石を探しているのか 低い屋根の上を雨が駆けていった 左手には枯れた花を握っていた トンネルの内側で声が響き渡るように 無が胸の内側でがむしゃらな音を立てた 甘い陰を探して歩く 苔むした側溝のくぼみ 風にゆれる木蓮のくもり 黒くひかる断崖の花盛り