四行詩習作

手に入らなかった思い出に背を押され
灰色にひび割れた道をたどる
坂の上へと転がっていく軽い声を
僕はただ見送るばかりだったのさ



アンテナの檻と電柱の林
引き伸ばされた午後の青白い夕方
そういった日々の隙間に心をねじ入れて
どんな化石を探しているのか



低い屋根の上を雨が駆けていった
左手には枯れた花を握っていた
トンネルの内側で声が響き渡るように
無が胸の内側でがむしゃらな音を立てた



甘い陰を探して歩く
苔むした側溝のくぼみ
風にゆれる木蓮のくもり
黒くひかる断崖の花盛り