ホンマアキコさん個展「フラウア・チルドレン」

 先週の日曜日に、ホンマアキコさんの個展「フラウア・チルドレン」を観に行った。場所は、お馴染みの吉祥寺イルカッフェだ。


 イルカッフェはアパートの一室を改装したような喫茶店で、むきだしのコンクリートの壁の中へ薄汚れた風情の家具がたくさん運び込まれている。使い込んであるテーブルや机、不揃いのソファ、埃の積もった本、なんと靴を脱いで上がれる座敷まである。そういう雑然とした空間で、でも不思議と落ち着くチープでおしゃれな感じのカフェだ。


 僕が訪れたのは夕方六時過ぎで、客席はほぼ埋まっていた。雑然としたカフェのため、席数は割と少なめだ。店に来ても席に空きがないことが良くある。幸いにして、その時は一人で座るのに都合の良い席が空いていた。「二年間の休暇」が置かれた、小ぶりなアンティークの書き物机(?)だ。


 ホンマアキコさんの作品は、奥の壁に掛けられていた。
「フラウア・チルドレン」という個展のタイトルの通りの、小さな花の絵が5幅。どれも落ち着いた淡い色彩で描かれていた。どの花も、黒い茎がねじれ合い絡み合っている。白い壁に掛けられていると、一輪挿しのような素朴な雰囲気があった。
 だが、そのうちのひとつをじっと見つめると、もっと別の表情が見えてくる気がした。自然界ではありえない咲き方をした花たちに、どこか毅然とした、人間のことなど気にかけないような気配が読み取れる。
 ホンマアキコさんの絵にはよく螺旋や渦巻きが出てきて、今回の花の絵にも茎の絡み合いが螺旋をかたどっている。その螺旋はDNAの二重螺旋を思わせるし、「禍福はあざなえる縄のごとし」の縄も思わせる。そんな絡み合いが、花の中に何か深遠なものを見出させるのだと思う。


 今回の個展では絵の販売も行っていて、店内の中央に飾られていた一番大きな絵は既に売れてしまったようだった。写真だけが残っている。アキコさんの話によると、アメリカの人が母へのプレゼントとして買っていったらしい。きっと良いプレゼントになっただろう。他にも「フラウア・チルドレン」の幾つかが売約済みになっていた。まさに子供たちのように絵が世の中へ旅立っていくのだった。


 ちなみに、個展は3月31日で終了している(汗)。今度は9月に麻布十番で新作の個展を開くそうなので、また観に行かせてもらおうと思う。


イルカッフェ
http://www.good24.jp/shop/f251.html

ホンマアキコさんBlog「ゲシタルト」
http://ameblo.jp/ak-truth/