キモさ撲滅キャンペーン

 色々な証拠をごく論理的に検証した結果、自分はキモいという結論に達してしまった。どうしよう。


 ここで言うキモさは、声とか仕草とか態度とかの、どちらかというと身体的なキモさの事だ。容姿そのものの事は、えっと……整形手術とか、ハードルが高くなり過ぎるのでひとまず置いておきたい。


 趣味のキモさも置いておく。たとえば、あんな気持ち悪い音楽ばっかり聴いてて絶対頭おかしい、キモい! といったような事は、むしろもっと突き詰めていかねばなるまい。
(※気持ち悪い音楽というのは、決して絶対に本当にマジで黒赤ちゃんの事じゃなくて、たとえばこんなのこんなのの事だ)


 僕がここで問題にしたいのは、オーラ、雰囲気としてのキモさだ。たとえばこの男を見て欲しい。


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 別に動画の内容のことはどうでもいい。この男を30秒も見れば、ああこの人きっと子供の頃にイジメられて、大人になってもアニメとか大好きで、友達少なくてゲームばっかりやってて、勉強はできるけどコミュニケーション能力低くて、ついでに可哀想なことに女の子にモテないんだな、というかなり正確な事実が瞬時に了解される。


 それにしても、この男のボソボソした話し方と上ずった声はなんだ。鼻でも詰まってるのか。はっきり言ってキモいな……ってこれって俺じゃん!


 つまりそういうところをどうにかしたいと思った。必要なキモさについては何て言われようと構わない。でもさ、態度とか声とか仕草とか、そんなの全然必要ないキモさでしょ? それはどうにかして脱出したいよね。


 ここで話題にしたキモさで悩んでいる人間は、僕の見込みだと日本全国で500万人はいると思う。別に趣味の事は良い。それは自分の意志で選べるからだ。しかし雰囲気やオーラは選んで取り替えるということがなかなかできない。この選べないものをどこまで意志で制御できるのか? それを試みて、全国のキモい同胞達に道を示すのだ。


 そんなわけで、少なくとも表面上くらいはキモくないようにしたいな、と思うのだった。それにはどうすれば良いのだろうか……きっと、話し方や声のトレーニングが必要になるんだろうな。何かアドヴァイスがあれば、どうかご教示ください……。