森岡書店朗読会
茅場町の森岡書店で朗読会があった。
森岡書店では、絵や写真の展示会と、それに合わせた岡安圭子さんによる文章の朗読という企画をずっと続けている。今回は画家・齋藤周さんの個展「ほのかなあかりが」と、それに合わせた柏木麻里さんの詩作品の朗読だった。無学なことに齋藤周さんの作品にも柏木麻里さんの作品にも接した事はなかったのだけど(汗)、こういうコラボレーション企画を利用してまったく知らない作品に触れに行くのもなかなか面白いと思う。
齋藤周さんの作品は、森岡書店の白い壁に散りばめられた形で展示されていた。壁だけではなく、本が陳列されたテーブルやサイドボードの上、壁の角や窓際、床にまでも置かれている。描かれているのは女性の身体の一部をモチーフにした絵画で、壁と溶け合う小さな白い断片の上に様々な色のペイントや柔らかい描線が重ねられている。書店の空間と一体になった作品で、店内を不思議な暖かさで満たしていた。
そして柏木麻里さんの詩の岡安圭子さんによる朗読。照明を暗くした中で、まず「うまれた雪」という作品が朗読された。清澄な感情が降りしきっていくような感じを受けた。冷たい渇望が言葉にこめられているように思った。
「あなたからうまれて
あなたに知られない雪」
次には「木への恋」という作品が朗読された。題名のとおり木に対する感情を綴った詩だった。僕も個人的に木を追いかけていた時期があったので、共感する部分が多かった。
「木と交わっているとき
自分と木とが世界であるとおもう
そして
ひとと木とで ひっそり
世界を産みおとす」
最後は、最新の詩集である「蜜の根のひびくかぎりに」がすべて朗読された。
「光のようにあやふやなもののなかで
いつでも
実在していてあげるよ と
ささやかれた」
この詩集は会場で販売されていたので、一冊購入した。実は、著者である柏木麻里さんも朗読会に出席されていて、サインも頂いてしまった。言葉と言葉のあいだの響きが本当に強い作品だと思った。僕も拙い詩を書く身だけれど、最近は語る事に夢中で響かせることをまったく考えていなかった、と反省してしまった。とても甘く官能的で、溶け合うことをうたいながら、それでも溶かしきれないものがあるのを僕は感じた。
詩を書くというのは僕にとってまだ未知の行為で、どんな人がどんな風に詩を書いているのかまだ全く分からない。それで、柏木麻里さんという現役の詩人の方にお会いできたのは嬉しかった。
皆さんのWebサイトは下記の通り。柏木麻里さんのサイトでは詩作品もアップされているので必読。
http://www.okayasukeiko.com/hp/index.html
http://homepage2.nifty.com/dawnfruit/
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